当社の主力サービスは、生産者と消費者をつなぐ産直EC「ポケットマルシェ(ポケマル)」や、生産者と寄付者が直接つながる「ポケマルふるさと納税」です。その開発を担うエンジニアの中村に、業務内容や入社の経緯、当社の魅力について語ってもらいました。
▼ PROFILE ▼
中村雅行(Masayuki Nakamura)
1977年、茨城県出身。システムエンジニアとして東芝ソリューション株式会社に新卒入社。その後、イギリスで9年間、日系オンラインショップ運営会社のWebエンジニアを勤める。帰国後、市役所職員、アクトインディ株式会社でのwebエンジニアを経て、2021年3月に株式会社ポケットマルシェに入社。開発部で「ポケットマルシェ」や「ポケマルふるさと納税」のバックエンド開発を担当。
消費者それぞれが農水産物の価値を決める場をつくりたい
──中村さんは開発部でどのような業務を担当しているのでしょうか?
2021年3月に入社してから半年ほどは、同年9月にリリースしたふるさと納税サービス「ポケマルふるさと納税」の開発を行っていました。「ポケマルふるさと納税」は、寄附者の方にポイントを付与することで、産直EC「ポケットマルシェ」での買い物と同様の体験で寄附ができる仕組みになっているのですが、僕はその部分のバックエンド開発を担当しました。現在は、「ポケットマルシェ」の登録生産者さんが使用する管理画面の改善を行っています。
IT系の会社では、開発チーム内の役割分担や開発の進め方がすでに決まっていて、レールにのっかるだけのことが多いです。でも、僕たちはまだそのレールを作っている段階なので、チームビルディングもみんなで行えるのが面白いですね。
──なぜ当社に入社したのでしょうか?
僕は29〜38歳までロンドンにいて、webエンジニアとして日系オンラインショップのECサイトを開発していました。当時のイギリスはEUに加盟していたこともあり、オンラインショップにはイギリスだけではなくヨーロッパ各国の人が訪れて買い物をしていました。
その様子を見て、「ITは時間と距離を限りなくゼロに近づけられる」と実感しました。ECサイトでの買い物は今でこそ当たり前になっていますが、自分で時間をかけてお店まで行かなくても、パソコンの前で買い物ができます。これってすごいことだな、と。
ロンドンでは週末に市場(いちば)がひらかれていて、郊外の農家さんたちが都市に農産物を売りに来ていました。ロンドンのスーパーで売られている農水産物は、日本ほど品質が良くなかったのですが、市場では良いものが手に入りました。このような市場を、ECサイト上でつくれたらいいなと考えていました。
というのも、僕の地元は茨城で、日本中の多くの自治体と同様に、若い人がいないという課題を抱えています。東京へのアクセスが良いつくばエクスプレス沿線でもなく、観光地でもなく、本当に「普通」の自治体なので、なかなか人を呼びにくいんです。
そこで、重要になるのは基幹産業です。僕の地元の場合は一次産業ですが、そこに従事している人たちがきちんと評価されることが重要です。ITを活用して、都市と地方の時間と距離をゼロに近づけることができれば、「普通」の自治体で農水産物をつくって売りたい人たちの選択肢が増えると思いました。
「普通」の農水産物が売れることは、とても大事なことです。日本のスーパーで売られている農水産物はロンドンに比べれば品質が非常に高く、すでに付加価値がついているような状態です。でも、それはあまりにも多くを求めすぎているのではないでしょうか。特に、流通の事情で価値基準が決まってしまっているように思います。
ロンドンでは、大きさも形も様々な「普通」の野菜が売られていました。そして、消費者がものの良し悪しや値段を見て、自分で価値を判断していました。僕は、最終的には、ものの状態と作り手の人柄、そして作り手への信頼を元に、消費者がそれぞれ価値を決めれば良いと思っています。「ポケットマルシェ」というプラットフォームでは、それが可能だと感じました。
外からでも地元を想ってできることはある
──中村さんは、自治体にも勤めていたと聞きました。
そうです。イギリスから帰国後、地元の自治体でIT関連の業務を担当していました。僕がつくってみたいと思っていたECサイトについても話したことがありましたが、時代が早かったのか、当時はあまり相手にされませんでした(笑)
結局、地元に住み続けるのは僕には難しいと感じて、2年半ほどでまた東京に出てきました。地元のことは好きですが、東京はやっぱり便利です。外からでも、地元を想ってできることはあると思っています。
博之さん(当社代表)の話を初めて聞いた時、同じような考え方に言及されていて、とても共感しました。博之さんは地方の良いところだけではなく、窮屈さも知っています。そして、都市の便利さもわかっています。だからこそ、地域に継続的に関わり続ける「関係人口」を提唱し、都市と地方のどちらか一方を選ぶのではなくて、両方と関わるような生き方を広めています。
都市と地方のギャップを、なんとか工夫してのりこえようとしてきた博之さんの姿に、何か近しいものを感じました。
技術はあくまで手段
──当社のどのような部分に魅力を感じていますか?
ビジョンが明確であるところ、かつ、「ポケットマルシェ」というサービスがそのビジョンを形にしたものだというところです。僕は、技術はあくまで手段だと考えています。目的は良いサービスをつくっていくことなので、そのサービスによって社会にどう貢献するのかを重視しています。
ITベンチャーでは技術が先行してしまうこともよくありますが、サービスや会社が成長できるのであれば、最新の技術ではなくスタンダードな技術を利用するのも良いと思っています。会社のビジョンがしっかりしているので、同様の考えを持つメンバーが集まってきています。
また、「ポケットマルシェ」はものを売り買いするサービスなので、やりがいを感じやすいです。前職では情報サイトを運営していましたが、クリック数を稼ぐ形だったので、手触り感がありませんでした。もののやりとりがあって、お客さんから直接フィードバックをいただける形が、僕には合っていると感じています。
──日々、どのような想いで業務に取り組んでいますか?
どうすればプロダクトがより良くなるのか、ということをずっと考えています。
ただ、プロダクト改善に向けた機能開発をする必要がある一方で、古くなってしまった技術の更新も進めていかなければいけません。コロナ禍以降、ポケマルの利用者数が大きく増加したこともあり、技術の更新がなかなかできていなかったんです。
今はまずそこを進めないといけない段階にあるので、苦しい部分もあります。ですが、足場をしっかり固めることで、近い将来プロダクトをより強化していけるはずです。「ポケットマルシェ」をもっと良いサービスにしたい、と思ってくれる方と、一緒に改善を進めていきたいです。
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