【調査結果サマリ】
1)生産者調査
2)消費者調査
本調査の結果、「消費者サイドの理解が得られない」ことが理由で値上げしづらいと感じる生産者がいる一方で、資材高騰が原因の食材値上げを許容する消費者が一定数いることがわかりました。なお、調査結果は、「ポケットマルシェ」上で消費者に向けても別途発信しています。
「ポケットマルシェ」内コンテンツ: https://poke-m.com/stories/2219
当社は、今後も都市と地方をかきまぜて生産者と消費者をつなぐことを目的に、情報発信を行ってまいります。
【調査結果詳細】
1)生産者調査
◆ 約8割(83.5%)の生産者が、2022年は前年比で10%以上生産コストが上昇したと回答、30%以上の上昇は約3割(33.1%)
2022年の生産コストを2021年と比較したところ、コストの上昇率は「10%以上30%未満」という回答が最多で50.4%だった。
また、上記の結果から、83.5%の生産者の生産コストが「10%以上」上昇していることがわかる。生産コストの上昇が「30%以上」の生産者は33.1%となった。
◆ 直販において値上げをした生産者(予定含む)は約6割(58.2%)、値上げ率は平均12.6%
生産コストが「10%以上」上昇している生産者の割合が8割を超える一方で、直販において値上げをした(もしくは値上げをする予定の)生産者は58.2%に留まる。
「価格を上げる予定(価格を上げた)」と回答した生産者に値上げ率を聞いたところ、平均値は12.6%、中央値は10.5%だった。
◆ 約8割(82.0%)の生産者が、生産コスト上昇分を一次生産物の販売価格に転嫁しづらいと回答
「転嫁しづらい」という回答が最多で、82.0%だった。
◆ 生産コスト上昇分を販売価格に転嫁しづらい理由は「消費者サイドの理解が得られない」が約4割(41.5%)、次いで「価格交渉の機会が少ない」が約2割(18.1%)
「転嫁しづらい」と回答した生産者に理由を聞いたところ、「消費者の理解が得られない」という回答が最多で41.5%だった。次いで、「農業者の価格交渉の機会が少ない」が18.1%となった。サプライチェーンにおける生産者と消費者の分断が、価格転嫁を阻む要因の一つとなっていることが示唆される。
◆ 「資材高騰が消費社会に及ぼす影響」に関する生産者の声
生産現場における課題は、時間差で食卓にも影響を及ぼし得る。しかし、その影響は消費の現場で十分に可視化されているとは言えない。当社は、生産者とともに可視化を進めていくことに意義があると考える。
「今後、生産資材の高騰は消費社会にどのような影響を及ぼすと思いますか」という問いに対し、複数の生産者から回答が寄せられた。
□ 戸島宏裕さん(戸島農園NS)
一次産業の衰退と農業生産者の急激な減少があるかもしれないと思います。新規就農も、これまで以上にコスト高となりハードルが上がるので、新規就農者が減少するかと思います。それらによって、食料供給事情の悪化が危惧されるのではないでしょうか?また、生産資材メーカーの衰退による事業者の規模縮小や倒産の可能性もありうるかと思います。一次産業生産食材の高騰を受けて、低所得者層の食糧難が大きな社会問題になるかもしれません。
□ 鳥海友紀江さん(TORIUMI FARM)
自身で価格設定できる直売やECでの販売はいいとしても、市場販売ではコスト増分を反映できません。なので零細事業者は生産量を縮小するか、もしくは廃業もあり得るでしょう(年金がある方は借金してまで続けません)。今後は例年通りの出荷は見込めず、価格が不安定になると予想します。その状況を見つつ、ポケマルでも価格を設定したいと思います。
[調査概要]
調査対象:「ポケットマルシェ」登録生産者
有効回答数:236件(回答した生産者が属する業態の内訳は、耕種農業 201件、畜産農業 11件、漁業 19件、林業 5件)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年6月16日(木)〜22日(水)
2)消費者調査
◆ 約9割(92.9%)の消費者が、食料品価格の上昇を実感
消費者の92.9%が、食料品の価格上昇を実感している。店頭の値上げ表記や、物価上昇に関する報道等により、価格の上昇に意識が向く場面が増えていることも一因であると推測される。
◆ 約8割(77.3%)の消費者が資材高騰による一次生産物の価格上昇を許容できると回答、許容できる値上げ幅は「10%以上20%未満」が最多で約4割(42.5%)
調査では、一次産業における資材高騰の概要を説明した上で、価格上昇の許容可否を尋ねた。結果、77.3%の消費者が「許容できる」と回答した。
「許容できる」と回答した消費者に許容可能な値上げ率を聞いたところ、「10%以上20%未満」が最多で42.5%だった。次いで、「10%未満」が38.3%、「20%以上30%未満」が12.8%となった。61.8%が「10%以上」の値上げを許容できると回答している。「資材高騰による生産コストの上昇」という課題を踏まえて、食材の値上げを受け止める意思を持つ消費者がいることが、本調査の結果から見えた。
[調査概要]
調査対象:「ポケットマルシェ」登録ユーザ
有効回答数:1,074件
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年6月8日(水)〜6月13日(月)
◆ 当社のアクション
「資材高騰による生産コストの上昇」という課題を踏まえ、当社では生産者へのサポートや消費者への情報発信を行っています。
<生産者の方へ>
・値上げについて消費者へ伝える際に参考にしていただける、生産者向けヘルプページの新設
・値上げに伴う、定期・予約商品注文者へのメッセージ送付代行
・資材高騰により販売価格を変更した生産者を講師とした勉強会の実施
など
<消費者の方へ>
・生産者の現状を伝える情報発信( https://poke-m.com/stories/2219 )
など