「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉*
で、当社代表の高橋が考案した概念です。2016年に高橋の著書『都市と地方をかきまぜる』の中で、国内で初めて刊行物にて発表しました。
現在では地方創生の看板政策となり、国土交通省、総務省、農林水産省、文部科学省、内閣府など省庁横断で関係人口の創出に取り組んでいます。
当社が目指すのは「関係人口」の創出で都市と地方をつなぐこと。関係人口は都市に「地方や自然に関わりをもつ豊かな生活」を、地方に「都市から多様な人がやってきて持続可能な田舎に」なることをもたらすという考えのもと、産直EC「ポケットマルシェ」や「ポケマル親子地方留学」など、「関係人口」の創出を目指した事業を拡大してきました。
当社では、“関係人口の創出”をインパクトとして捉え、
2050年までに“2,000万人の関係人口の創出“を目指します。
インパクトとは、「短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的なアウトカム」*1のこと。
いわゆる「社会に与えるポジティブな影響」です。
ではどうして、“関係人口の創出”が社会にポジティブな影響を与えるのか。
人口減少が続く日本社会において、2022年に1億2,600万人いた人口は、
2050年には2,000万人減少し、1億500万人になると考えられています。*4
人口の減少は、地方に大きな影響を与えます。働き手の減少や都市圏への人材の流出が続けば、その地域の活力を失うだけではなく、魅力ある自然・歴史・文化までもが失われてしまう恐れがあります。
そこで鍵になるのが、関係人口であると、当社は考えます。地方と関わる人が増え、都市からの人の往来が増えれば、経済活動は活性化し、その地域は持続可能に近づきます。
現在、国土交通省の統計によると、三大都市圏に住む約4,678万人の18.4%にあたる861万人*2が、地域と継続的にかかわりを持つ関係人口とされ、その経済効果は年間約3兆483億円*3と試算されています。当社が目指す、「2050年に全人口の約20%にあたる2,000万人が関係人口となる」ことで、期待される経済効果は約7兆808億円*5
。
魅力ある地方を、そして、多様な日本社会を残すために、当社は関係人口の創出に取り組んでいきます。
2,000万人の関係人口の創出を達成するために、当社では事業を通して”生産者と消費者のつながり”を創り出していきます。そしてそのつながりが、地域と多様に関わっていく関係人口になっていくと期待します。
そのために、
「顔の見える流通金額」「生産者と消費者のコミュニケーション数」「都市住民が生産現場で過ごした延べ日数」という関係人口創出に紐づく3つの指標を、”生産者と消費者のつながり”を示す数値として、財務諸表と同様の重要性を持って企業活動を進めていきます。
株式会社雨風太陽 代表取締役 高橋博之
雨風太陽は、都市と地方の分断という社会課題をビジネスの力で解決するために、岩手から生まれた会社です。膨れ上がり続ける都市はゆとりをなくし、先細る一方の地方は活力を失っています。都市と地方をかきまぜることで、都市の活力を地方に引き込み、地方のゆとりを都市にもたらしていきたい。
そうした社会的インパクトを最大化することで、分断は解消されていくと考えています。そのために、インパクトを可視化、計測、公開し、その価値を理解するステークホルダーを増やす活動を進めて参ります。具体的には、以下に挙げる独自の指標を設定し、公開していきます。
1.顔の見える流通額
2.生産者と消費者のコミュニケーション量
3.都市住民が生産現場で過ごした延べ日数
この3つのインパクト指標を主要な経営指標として位置づけることで、継続的にインパクトの向上に取り組んでいきます。都市と地方の間を行き交うヒト、モノ、カネ、コミュニケーションの循環を加速させ、都市と地方の境界線をとかしていくことで、日本中あらゆる場の可能性を花開かせていきたいと思います。
当社は、2020年11月に一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)により、休眠預金等活用法に基づく「地域活性化ソーシャルビジネス成長支援事業」の実行団体として採択されました。2021年8月には、SIIFによる支援のもと、産直アプリ運営で培ったノウハウ等を活用しつつ、一次産品のオンライン購買を契機とした関係人口の創出プロセスを明確化すべく「関係人口研究室」を立ち上げました。
また、2024年4月30日にはココホレジャパン株式会社と資本業務提携を締結し、ともに「関係人口研究室」の運営を行っています。