2022.5月 26

平日は営業マン、休日は農家の手伝いへ。 ー「売り手と買い手」「運営と利用者」を超えて、生産者とつながるー | 事業開発部門 法人営業部 宍戸健太

「都市と地方をかきまぜる」をミッションに掲げ、産直EC「ポケットマルシェ(ポケマル)」を中心に事業展開する、株式会社雨風太陽。当社には、全国の生産者と自治体様や企業様との連携を促進する営業担当として、また当社サービスの一(いち)ユーザーとして、生産者さんのもとへ足繁く通い交流を深めている社員がいます。そこで育まれているのは、個人と個人がつながり、共に助け合うような関係性。今回は、仕事とプライベートの往還の中で、生産の現場・生産者と関わる魅力を宍戸から語ってもらいました。

 

▼ PROFILE ▼

宍戸 健太(Kenta Shishido)

宮城県出身。メーカー企業での営業を経て、「一次生産者と近い距離で働きたい」という想いのもと2019年に株式会社雨風太陽(元株式会社ポケットマルシェ )に入社。現在は事業開発部門 法人営業部にて、ふるさと納税事業営業、企業営業、全国食べる通信リーグ運営と幅広く担当している。


人を通じて巡り合った現場、そして「週末農業」の試み 

──当社では農や食に関心があるメンバーが多く働いていますが、中でも宍戸さんの活動スタイルは話題です。ぜひ具体的に教えてください。

以前ご縁があったポケマル登録生産者さんの元で、農業のお手伝いをする代わりに、畑の一部をお借りしています。週末はこれらの畑がある埼玉と茨城の2箇所で、自分にとっての「ロマン食材」を作ることがここ数年の楽しみです。

 

──「ロマン食材」とは何ですか?

 

作ってみたい食材のことをそう呼んでいます。スイカ、メロン、さつまいも、とうもろこしなどは、今年全部挑戦してみようと思っていて、ちょうど先日、かねてよりファンだった農家さんのもとへ、とうもろこしの栽培方法を教わりに行ってきました!

 

ポケマル登録生産者でもある福島県の桃農家さんや鳥取県の畜産農家さんのところへ遊びに行くことも予定中です。

 

初めは面白半分、ダイエット半分だったのですが、農の現場には常に学びがあるということを面白く思うようになり、いつの間にかのめり込んでしまっていました!

 

ポケマル登録生産者・篠塚政嗣さんのマーフィーズファームにて

 

──「週末農業」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 

一番直接的なきっかけは、2年前に社内で担当していた「リアルマルシェ」の運営を通じて出会った生産者さんです。たまたま住んでいる地域が一緒だった方と自然と盛り上がって、畑に遊びにいかせてもらうことになりました。

 

現地では、「人手が足りないんだよね、大変なんだよね」という赤裸々な悩みをお聞きしました。また同時に「それでもこうやって頑張りたいんだ」という生産者さんの熱い言葉がとても印象的だったんです。

 

その後も手伝いのために生産者さんのもとに通い続けるうちに、「自分も手伝うだけではなく畑をやってみたい」という興味が湧いてきました。折しも生産者さんから「余ってる畑を使ってみる?」と言っていただいて、去年から本格的に畑を始める運びになりました。実際に始めてみると、想像以上に難しくて、失敗もたくさんし続けています。野菜を作りすぎて余っちゃったり。(笑)

 

ですが、現場で直接聞く声や、交流から生まれる出会い、体験から得られる情報や失敗、全て含めて学びは大きいと感じています。

 

ポケマル登録生産者・高橋敦さん・見沼ひるま農園にて

 

 

農に触れるだけではなく、生産者の実情にも触れたい

──週末農業から得られた「学び」について、もう少し教えてください。

 

個人的に考えていることなのですが、農業って表面上は知っているつもりになっていることが多い気がするんですよね。実際、今に至る前の僕にとって農業は、地元・宮城県の風景の一部でした。親戚の中にも生産者さんはいましたし、地元の芋掘りイベントなどを通じて、小さい頃から農に触れる機会はあった方なのかもしれません。ですが、「風景」や「体験」以上に、農薬のことや、気候変動の影響などをはじめとした農業の実情を知るところまでは、踏み込む機会がありませんでした。

 

僕が今経験しているのは、趣味程度の農業ですが、生産者さんの状況をより解像度高く理解できるようになってきた気がします。その上で、「皆さんのビジネスに生かせるような事業を雨風太陽としてもっとできないかな」ということも考えることが増えました。

 

──これらを関わり合いの中で行っている点も、学びの重要な要素なのでしょうか。

 

そうだと思います。もちろん、そういった真面目な学びだけでなく、生産者さんとの関わり合いには単純に楽しい側面もたくさんあります。何度か交流のあった生産者さんから、とある取組みに誘ってもらったことが、今まで考えたこともなかった「まちづくり」に関心を持つきっかけになったり。遠方にいらっしゃる生産者さんからは、東京出張の際にご連絡いただいて、一緒に飲みに行くこともあります。

 

 

 

生産者さんと共に、泥臭く

──宍戸さんの中で農に関わる職への関心はどこから生まれ、どのように変化してきましたか?

 

初めて漠然と「一次生産者さんと近い距離で仕事をしたい」と思うようになったのは、学生時代に関わった、「東日本大震災で海の潮を被った田んぼを再生する」というゼミのプロジェクトでした。

 

新卒で入社したメーカー企業を経験した後、「もっと生産者のために、地域のためにできることをやりたい」と、転職先として農業ベンチャーを探していた時、見つけたのが「雨風太陽」(当時「ポケットマルシェ」)です。事業を生産者さんと一緒に盛り上げていることと、そして何よりも、会社の泥臭さに惹かれましたね

 

大学卒業以来、ずっと営業をしていますが、雨風太陽ではこの役割を通じて多くの生産者さんと話す機会に恵まれるようになりましたそのことが、自分に大きな変化をもたらしています。

畑を持つようになったことも、少しずつ農業の実情を学べていることも、今の仕事があってこそですし、また逆にこの経験が仕事に活きているという実感もあります。

 

 

──現在の法人営業部での仕事においては、どのようなことを日々大切にしていますか?

 

今は営業マンとして、「どんな食材をどんな生産者さんが作っているか」を企業様相手に伝える役目を主に担っています。業務上では生産者さんの状況把握をするため、電話でヒアリングすることが欠かせません。その電話口で自然と話が盛り上がり、ありがたいことに「今度来てよ!」と生産者さんから声をかけてくださることもしばしばです。

 

週末農業先の畑も然り、農業の現場に足を運ぶようになってからは、生産者さんに直接お会いして、見て聞いて感じることの大切さを実感するばかりです。社員全員に行ってもらいたいくらい!雨風太陽で働くのであれば、生産者さんのことは深く知っているべきだと思います。その中でも僕は率先して色々な生産者さんに会いに行って、より深いところにある実情にも触れていけたら、と考えています。

 

正直、手伝いをするだけでは、生産者さんや彼らの農業に対して直接的な影響をすぐには及ぼせないかもしれません。ですが、生産者さんから学んだことは、間接的にでも何かの形で還元したい、と日々強く思っています。

 

 

広がり続ける、生産者さんや地域とのつながり

──最後に、今後宍戸さんがチャレンジしてみたいことを教えてください。

 

農に触れたい人と、本格的に農業をやっていきたい人の境目があるとしたら、僕はちょうど真ん中なのかもしれません。

作りたい作物があって、同時に、全国に関わりたい生産者さんがたくさんいらっしゃいます。漁師さんのお話も聞いてみたいですし。

 

なので、チャレンジしたいことは、「旬の時期になったら宍戸が来るぞ」と言われるくらい生産者さんや地域とつながること、でしょうか。そうやってつながっていく中で、雨風太陽のことをより好きになってもらうきっかけが作れたら、と思います。

 

「ロマン食材」のとうもろこし。成長が楽しみです!

 

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