私たち人類は今、存亡の危機を迎えている。産業革命以降の資本主義社会が地球環境に与えた負荷は多大で、気候変動や生物多様性の損失といった環境要素の変化がすでに地球の限界に達している*1。地球温暖化は、現在の速度で進行すると、早ければ2030年には世界の平均気温が工業化以前より1.5度上昇する可能性が高く、人類や生態系にとって深刻で不可逆的な影響が生じるという*2。
また、人間社会では、経済効率と合理性が際限なく追い求められる中で、人間の個性や人格は捨象され、代替可能な労働力としての競争が加速した。競争に食らいつく間に心身はすり減り、競争から振り落とされれば貧困に陥ってしまう。自然や生身の人間とのつながりは希薄で、生きる実感も失われている。
行き詰まった地球環境も人間社会も、その根底にあるのは「分断」である。効率化・大規模化のために、本来不可分であったはずの消費者と生産者、都市と地方、人間と自然を切り分けてしまった。分断された社会では、自分の生活が何によって支えられ、何に影響を与えているのかを知ることは難しい。ゆえに、自分の生活と密接に関わっているはずの存在を自分ごと化できず、蔑ろにしたり、無意識のうちに損なってしまう。その結果、自分が生きる社会の持続可能性を、自ら脅かす事態になってしまった。
では、どうすればこの社会は、持続可能になるのだろうか。
分断を乗り越える。それが、私たち雨風太陽の出した答えである。「食」を通じて、消費者と生産者、都市と地方、人間と自然を「個」としてつなぎ、分断された関係性を結び直す。
個と個がつながることで、自分を生かしてくれている存在、自分が生かしている存在に気づく。そのような存在について深く知り、自分ごと化して考えられれば、蔑ろにしたり、無意識のうちに損なったりすることなく、共に助け合える。「共助」の関係性は多様な個を生かし、多様であるからこそ社会は持続可能たり得る。