報道関係者各位 プレスリリース
2017年12月27日 株式会社ポケットマルシェ
株式会社ポケットマルシェ(岩手県花巻市:代表取締役 高橋博之)は、全国の農家・漁師がスマホから出品するオンラインマルシェ「ポケットマルシェ」のiOSアプリの全面リニューアルを行いました。
【リニューアルの概要】
●「手書きポップ」の導入 この度、iOSアプリのデザインを一新し、生産者自らが書く「手書きポップ」をメインとしたUIに変更いたしました。見て歩くだけで楽しいリアルのマルシェのように、これまで以上に「生産者から直接買える」ポケマルらしさを体感できます。
●SNS機能の強化 これまでのアプリでは、フォローをしている生産者以外について、コミュニティウォールへの投稿を見ることができませんでした。この度「みんなの投稿」メニューから、日々生まれている生産者とユーザーの会話の全てを見ることができるようになりました。商品写真や説明、価格からだけでなく、会話の様子を見ながら食べ物を選ぶ。ごちそうさまを直接作り手に伝える。こうしたポケマル的世界観を実装しました。
【リニューアルに込めた思い/高橋博之】
これまでのアプリは、商品がずらっと並んでいて、商品名や値段がすべて同じフォントで無機質に書かれていました。これだと、スーパーの棚に陳列されてる商品と変わらないし、他の食のeコマースと何が違うのかもよくわからない。スーパーもeコマースも一度倉庫などに集荷してから消費者に届けられますが、ポケマルが決定的に違うのは生産者から直接届くことです。
実際のマルシェに行くと、出店してる生産者はみな思い思いの手書きPOPを出しています。筆跡はぜんぶ違うし、ペンの太さや色も違う。短い言葉で自分の生産物の特徴を伝える様々な工夫をしていて、ここに一番の個性が出ています。スーパーやeコマースに色濃くあって、マルシェに薄いもの。それは商品感だと思います。生産者が育てた生産物は命であり、本来は工業製品のような商品ではありません。
私たちは「食べもの」という幻想を食べて生きている、と京都大学の藤原辰史先生は言います。うまいこと言うもんです。そして幻想であるがゆえに物語は肥大化するとも。例えば「見た目」という物語。味はぜんぜん変わらないのに、見た目で食べものの価値が決まります。形がいびつな野菜は市場では売れません。形が同じで、汚れをきれいにとった食べものは、まさに工業製品そのものです。
また偽装という物語もあります。食べものに、過剰なパッケージと、過剰な添加物と、過剰な広告費を投入している現在の食品企業のおかげで、消費者は食品から生命を抹殺できるようになっています。このふたつの物語の背景には、食べものの由来の記憶を消そうという欲望が隠されているように思えてならないと、藤原先生は言います。
2018年6月から主要農作物種子法改正をはじめとする6本の法律が農業の世界で施行されます。ひとことで言えば農業の大規模化・効率化・企業化であり、ドローンを飛ばして種がまかれ、人の手をあまり必要としないような、新しい時代の農業の幕開けというわけです。地方の農山村を歩くと、農家の高齢化は目を覆うばかりで、耕作放棄地も広がる一方なので、国がやろうとしていることはその意味で合理的とも言えます。こうした工業的農業の進化も相まって、前述した食品企業が生み出す物語は、ますます強固なものになっていくでしょう。
ポケマルはこれとはまったく逆をいきます。食品企業がつくる物語とはまた別のリアルな物語を世の中が欲しているように思うからです。現在、生きものの生命を奪う場所「生産地」と、その亡骸を美味しく食べる場所「消費地」があまりにも遠くに離れすぎていて、もうひとつのリアルな食の物語が分断されています。だから、消費者にその物語は届かない。
生命が奪われていく過程と生命が育っていく過程を近づけ、生命が奪われていく過程に携わる人である「生産者」と、奪われていった生命を自己の生命維持のために取り込む人である「消費者」とを交流させ、融合させることで、「生物のサイクル(循環する物語)のなかで生きる私たち」を確認する。ポケマルは「食べもの」の美味しさを増幅させるような、感謝や祈りにも似た物語を生み出す装置でもあり、リアリティに枯渇する消費者の充足感を高めます。
本当にひとの心に残る「食べもの」は、その来歴が、食べる人を圧倒させるものだということを、ぼくは生産現場を訪ねる中で知りました。食品企業のつくる物語に、生産者と消費者が一緒に生み出す新しい物語を対峙させることで、食の世界は今よりもっと楽しく豊かになるはずです。このリニューアルが、その物語のはじまりになればと考えています。
【本件に関するお問い合わせ先】 株式会社ポケットマルシェ:本間(080-4612-7700/homma@poke-m.com)